若狭湾の津波記録
若狭湾の津波 関電が調査検討
5月26日 21時28分
全国で最も多くの原子力発電所が集中する福井県の若狭湾で、およそ400年前、地震とともに波で家が流され、多数の死者が出たとみられる記述が、複数の文献に記されていることが分かりました。関西電力は、これまで津波による大きな被害の記録はないと説明してきましたが、誤解を招くものだったとしたうえで、東日本大震災で想定外の事態が起きたとして、当時、津波の被害があったのか、調査を検討するとしています。福井県の若狭湾は、関西電力や日本原子力発電などが運転する全国でも最も多い14基の原発が集まる場所です。原発は、建設時に過去の地震や津波について調査を行うことが義務づけられていて、関西電力は、調査の結果、若狭湾で、津波による大きな被害の記録はないと、これまで地元の住民や自治体に説明してきました。しかし、東日本大震災のあと、日本の中世の歴史を研究している敦賀短期大学の外岡慎一郎教授が調べたところ、京都の神社に伝わる「兼見卿記(かねみきょうき)」という文書に、天正13年(西暦1586年)に起きた「天正大地震」で、若狭湾を含む沿岸で波が起こり、家が流され、多くの人が死亡したという記録があることが分かりました。また当時、日本に来ていたポルトガルの宣教師、ルイス・フロイスが書いた「日本史」の中でも、同じ天正大地震の記述として、若狭湾とみられる場所で「山と思われるほど大きな波に覆われ、引き際に家屋も男女もさらっていってしまった」と記されていることが分かりました。これらの資料は、国史の編さんにも使われる歴史資料としては一級のもので、NHKの取材に対し、関西電力は、昭和56年には2つの文献の内容を把握していたが、信ぴょう性がないと社内で判断し、住民や自治体には、津波による大きな被害の記録はないと説明してきたとしています。しかし、これまでの説明が誤解を招くものだったとしています。そのうえで、東日本大震災で想定外の事態が起きたとして、文献の記述のような被害が大きな津波で起きたのかも含め調べるため、ボーリング調査など科学的な調査を検討するとしています。関西電力は「どのくらいの大きさの津波に備えるのかは、文献の調査だけでなく、活断層の動きから計算する科学的なシミュレーションも行っているので、これまでの津波の高さの想定に問題はなかったと考えている。ただ、東京電力福島第一原発の事故を踏まえ、見直していくべきところは見直していく」と話しています。
(NHKニュース)
「活断層の動きから計算する科学的なシミュレーション」というのは、これのことか?
北陸で3メートル超の津波も 石橋・神戸大教授が推定
福井県沖の断層群で大地震が起きた場合、若狭湾沿岸で津波が3メートルを超す恐れがあるとのコンピューターシミュレーション結果を、神戸大の石橋克彦教授らがまとめ、名古屋市で開催中の日本地震学会で1日までに発表した。 日本海側の津波被害を伴う地震は新潟地震(1964年)をはじめ新潟以北に多く、それより西側では具体的に想定されてこなかったという。 石橋教授は「近く大津波が発生する可能性が高いわけではない」と強調する一方「一昨年のスマトラ沖地震を教訓に、確率は不明でも発生の可能性がある津波は、どの程度の規模になるか評価しておくべきだ」と指摘。地震の発生確率の調査も必要だとしている。 若狭湾沖約100キロにある問題の断層群は、断層3本からなり全体の長さは約80キロ。付近には西北西側と東南東側から圧縮する力がかかっており、2000年には断層群東端でマグニチュード(M)6・2の地震も発生した。石橋教授は「新潟以北より頻度は低いかもしれないが、まれに大地震を起こす可能性が否定できない」としている。 今回、長さ80キロの断層が4メートルずれるM7・6の地震を想定すると、島根半島や隠岐諸島から能登半島までの広範囲で、津波は1メートル以上に。このうち若狭湾内の多くの地点で3メートル以上となった。 石橋教授は「正確な予測ではないが大まかな傾向は分かった」とし、さらに詳細なシミュレーションが必要だとしている。
2006/11/01 10:21 【共同通信】
(引用は47ニュースから)
…じゃあ、昭和56年(1981年)の「文献把握」から、2006年の「シミュレーション」までの間、25年間は、想定について問題があったということでよろしいのか? それとも、この学者が適当に言ってるだけで、社内の想定はあったということなのか。
結局「信憑性がないと社内で判断した」が全てではないのかと素直に思う。信憑性について、公けに問うことはせず社内判断。そういう仕組みなのです、と。自分たちの無誤謬性を過信していました、と。
[追記]
もんじゅの耐震想定という記事があった。想定は直下型でM6.5とか。これを越えると「想定外」ということですね。
そして、万が一、内部をめぐる配管が壊れ、ナトリウムの循環機能が喪失したら、その場合は…
「想定できていない」
のだそうです(そりゃ「想定外」だものな)。
それでいいんだ…。
ふーん。
という感じです。