答えたかった質問(question:1108546566)

一つという指定は無かったので、いくつか。
機械・春は馬車に乗って (新潮文庫)
まず一つは、横光利一の「春は馬車に乗って」でしょう。これまで日本語で書かれた短編小説の中で最も完成度が高くそして美しい一編だと思います。真面目だけれど堅くない。醜悪だけれども優しい。救いはないけれども尊い。飄々としているけれども軽くない。そして欲望に満ち溢れた表現だけれども……とにかく美しい。こんな小説は二度とないでしょう。

焼跡のイエス/処女懐胎 (新潮文庫 い 3-1)
「鷹」「紫苑物語」……といった中編の名作の方があるいは完成度が高いのかもしれませんが、石川淳に関して言うと、どうしても「焼け跡のイエス」そして「かよひ小町」の二編が大好きです。もう初めて読んだときから痺れっぱなしです。

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
風立ちぬ・美しい村」完成度が高い小説……と言われると、これを思い浮かべます。とにかく静かな、そして美しい小説です。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)
村上春樹の代表作といえば、普通はノルウェイを上げるのでしょうか。私は、完成度で言えば三部作やノルウェイよりも、この一作をあげます。あらゆる小説のおもしろさが詰まった村上ファンなら堪らない一作です。冒険あり、恋愛あり、聖あり、活劇あり、ファンタジーあり、そして何よりも啓示と愛情に満ちた作品です。おそらく書いていて一番楽しかったんじゃないでしょうか。そう思わせる作品です。

……というわけで、総括。

  1. 男女の愛情に関する小説
  2. 死が絡む小説(特に女性が死ぬ話、呼吸器系など)
  3. 聖書など、聖なる要素が絡む小説

が好きみたいですね、私は。うーん。実にベタな趣味ですね(ーー;)。