「アナタハン」って聞いて何を思い浮かべますか

 私は関西弁の二人称尊称かと思いましたm(__)m。さて、様々な事件を見るにつけても将来に悲観しがちな皆様の心胆を更に寒からしむべく(この寒いのに…)人間の本質に迫る迫真のドキュメントを一つ。
 アナタハン事件

終戦を信じずにマリアナ諸島アナタハン島に取り残された32人の男性が、たった一人の女性をめぐって殺し合った事件がありました。すべての原因として処刑されそうになった比嘉和子さん(写 真)が米軍に救出された昭和25年までの6年間に、11人が命を落としました。(リンク先より引用)

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いくつかサイトをめぐると「映画化もされ、戦後の一時期大きく話題になった」という割に情報量が少なくて、そして少なからぬサイトで「戦争の悲惨さ」という枕詞がついてるのが気になりました。これ戦争がどうというより人間の愚かさみたいな問題だと思うんですが。
いや、もちろんだからといってこのアナタハン島に取り残された32人の男性より自分が賢いとはサッパリ思わないです。自分も含めて人間て多分これくらい馬鹿なんだと思います。それだけでもある意味怖いんですが、別に殺し合いしたいと思っていないのに閉じこめられた状況の中で始まってしまった不信の連鎖をどうすることもできないという状況は、更に怖いです。「32人の男性と1人の女性、7丁の拳銃と弾20発、ジュラルミン製のナイフ、孤島」……なんだかどこかゲームの設定のような(−−;)余りにも出来過ぎた状況の中で、一人また一人と消えていく/殺されてゆく男達。全ての真相は明らかにならないまま徐々に疑心暗鬼だけが広がり、最後は全員会議で女性を処刑するところまで追い込まれてゆく……本当にもう訳が分からない壮絶さです。壮絶なだけに、こちらとしては言葉を失ってしまう。「人間って何だ」というのがいいのか、それとも「この馬鹿な生き物が人間です」というべきなのか。まあそこで、一つの解決としてみんなで生身の女性への興味を放棄してみる、たとえばみんなで二次元の世界に逃避するというのが人間の知恵なのか、とか考えると難しいわけですが。
まあ冗談はさておき、そんな私のつまらない冗談よりも、その事件に対してこんな映画を作っちゃうというのがまた凄い。やるな、戦後ニッポン。ちなみに元々の事件が映画「ゴジラ」('54)の2年前、この映画は更にその5年後*1
グラマ島の誘惑
(ーー;)
見たことはないけど、こうやってブログやなんかで匿名でごちゃごちゃ考えるより、映画作っちゃうというのは遙かに達観していると思う。この壮絶なストーリーを更に壮絶にパロディにする。また出演者もよく見るとモリシゲ、宮城まりこ、岸田今日子八千草薫……としっかり固めてる。詰め込みすぎで駄作と評されているそうだけど、事件を踏まえてみると色々考えさせられるものがありそうだ。ちょっと見てみたい。
(追記)
それにしても、写真の彼女はどういう気持ちで日々を送っていたのでしょうね……。とても言葉で説明できるようなものではないかもしれませんが。

*1:すいません、時間軸としてゴジラ以外のものが浮かばなかったのでm(__;)m