『はてなポストモダン村』(ゲゼルシャフトとゲマインシャフトからはてなを考える、に触れて2−(2))

2ちゃんねるについて語っていた所でしたが、昨日書いた事をid:yukatti氏風に説明すると、

  • 2ちゃんねるは明らかに「ゲマインシャフト」ではない。本質的に「ゲマインシャフト」としてのシステムを全く備えていない単なる匿名掲示板以上のものではない。
  • それにも関わらず、そこに、ある種の連帯感や自治、何の強制もないのに固定ハンドルが成立しており、つまりそこに参加する一定量以上の人間にとって強いゲマインシャフト的感覚を持たせることに成功している。
  • そして、だからこそ2ちゃんねるは単なる匿名掲示板以上の存在であり得ている。単に先行したから勝利しているだけ、というわけではない。
  • 2ちゃんねる2ちゃんねるたらしめているのは、いわば個々のシステムと言うよりは、「こういう場所が欲しい」という一つの『思想』だということができる。

そしてjo_30の考えるところによると、

  • それを生み出しているのは、2ちゃんねるというシステムが持つ「風通しの良さ」(あえて、非常に多義的に)である。
  • しかし現在の2ちゃんねるがベストのコミュニティというわけではない。(現在の所それ以外の形が存在しないという意味に於いてのみ許容されている。)そこには多くの欠点が存在する。

jo_30が証明したいのは

  • 2ちゃんねるは現在以上の形にはなり得ない。つまりあれが匿名掲示板としての限界点であることの証明。
  • 単独で、2ちゃんねる以上の成功を収めるシステムを構築するのもまた不可能であることの証明。
  • ただし、2ちゃんねるが持っている機能のうちいくつかを分解して、その欠点を克服し、かつその良さを残した形で改良されたサイト(システム)をつくる事は不可能ではない(たとえば質問に対して回答が来るという機能)→理想としての「人力検索
  • はてな」の成功のカギは、2ちゃんねるのように単一化された形ではなく、それぞれの別種のサービスがゆるやかに一つに統合されたような「サイト連合」のイメージの中にある(a〜zまでをサービスで埋め尽くす!)。
  • その意味で、「はてな」の理想的な進化(百万単位のコミュニティ)の先にあるのは、web上における全く新しいコミュニティの形であり、新たな人と人との関わり方である。それを一つにまとめるのが「はてなID」であり、それは他の類似サービスにおける単なる「アイデンティティの記号」ではない。強いて言えば、「はてなID」が「はてな」ワールドにおける一つの通貨となるような感覚である(たとえばid:sasada氏がかつて唱えた『履歴書に「はてなID」を書く時代の到来』が一つのイメージ)。
  • それはゲゼルシャフトでもなくゲマインシャフトでもない。運営する側からすればゲゼルシャフトでありながら、参加者にとってはゲマインシャフト的であり、かつその二つの望む利点を利用可能なものである。

予測として、

  • 両者の特徴を併せ持つ結果として、完成された形は「一見完成とは見えない雑多な姿」としてある種の「ゆらぎ」を内包し続けることになるかもしれない。
  • 両者を結びつけるポイントは、これがweb上のコミュニティであるということと、システムとしていかなる「風通しの良さ」を保証できるか、という点にある。

書きながら思ったんですが、これ、相当途方もないことを書き始めているような気がしてきました……(==;)
(追記)
自分で以前書いた内容ですが、これもまた今回と同じようなイメージで語っています。
http://d.hatena.ne.jp/jo_30/20050124/1106564212
これを読みながら思ったのですが、上記の解決の一つの道筋もまた「カテゴライズ」であり、それならば「匿名で語る」行為もまたカテゴライズ可能なのではないか、と。一種のジョークとして聞いて頂けるとありがたいのですが、「いわし」とは別に「はてな専用匿名掲示板(c.hatena.ne.jp=はてなchannel」を作るというのはどうでしょうね?IDを持っている限りに於いて匿名での書き込みが可能、かつ希望があれば固定ハンドルのようにユニークにIDを表示することも可能な、はてな専用掲示板。そこで、はてなのあり方などについて語ることもできる、ダイアリーともフォトライフとも人力とも異なるコミュニケーションの可能性が生まれてくるのではないかなぁ……。