韓国大統領の「謝罪要求(ニュースリンク)」について

非常によく整理された意見を読むのは楽しい。
韓国大統領の「謝罪要求」コメントについて、ネット上をうろついていると半島観察という名のblogで、どうやら大体理解できた。
私は法律家ではなく強いて言えば文学屋なので、理論的な言説を直感的に理解できる言葉に翻訳せざるを得ないのだが、その伝で分かりやすく言うと

K「お前うちの弟どついたやんけ」
J「その後で飴とられたやんけ」
K「まぁええわ。仲直りしよな。その代わり弟に謝ってや」
J「謝る必要ないわ。文句あんねやったら飴もう一個食わせとけや」
K「分かった分かった。ホナそんな感じで」
〜後日
K弟「ひどいやん!Jくん、ボク叩いたん謝ってや!」
J姉「あんたK弟ちゃん叩いて謝ってへんねんて?ひどいやん!」
J「エエエェェェェェェ(´д`)ェェェェェェエエエ!!!!!!!」

ということですね。やれやれ。
*1
(追記)
やはり誤解を受けそうなので追記しておく。
結局「個人請求権」に関する問題というのは、「国家対国家(JとK)」が個人(K弟)を置き去りにして話を済ませてしまうという20世紀的ないわゆる「国際社会」的枠組みそのものに対する個人からの異議申し立てなのだ、ということを「国家」の側が認識しているか否かという所にある。もちろん20世紀的国家が個人に対して多大な責任を背負おうとし個人の意識や権利がその結果として拡大されたことは前提にするとしても。いつまでたっても弟は依然として弟であることに変わりはないのだけれど、それでも弟がいつまでもKの付属・従属物ではないぞ、というふうに比喩的に言い換えてみてもいいよね。問題はそのことを「兄(国家)」が認識し対応できるのかということだ。また現在までの所そのことにうまく対応できている兄(国家)があるのか?というとそれは結構疑問だ。でもいずれ確実に対応を迫られることになるのは間違いないだろう。「兄貴のこれから(21世紀型国家像)」というものは果たしてそのような形で建築されうるのか?それとも、兄貴は更に暴君となって弟を再び抑圧する方向へ向かうのか?(情報を制限し、弟を更に巧妙に騙すという方向性もないではないね。)もし理想的にことが運ぶなら、いわゆる「ポスト・コロニアリズム」的な視点から構築される新しい国家というのは、「ポスト20世紀ナショナリズム」的国家だと言うことができるだろう。

*1:非常に蛇足ながら解説をしておきます。でないと、どういう誤解をうけるか分からないので……。まずK=韓国政府、J=日本政府、は言うまでもないでしょう。日韓戦後処理において、韓国政府はまず日本に対し「植民地政策(どついた)に対する賠償」を請求、一方植民地政策自体の歴史的評価を回避したかった日本政府は「没収された財産(飴)との相殺」を主張。両者は「日韓の関係正常化」の一点で合意し、歴史認識問題を棚上げし、かつ「請求権の相殺(どついた≒飴とった)」「『賠償』と言わない(謝らない)代わりに『無償経済協力(飴もう一個)』を行い、そこに個人(K弟)に対する補償を含む」ということで合意したわけですが、個人補償は経済協力の名の下にほとんど置き去りにされたため、戦争&植民地政策の被害者(K弟)は日本政府に対して「人権侵害に関する請求は可能」という立場から個別補償(叩いたん謝って)を要求、日本国内でも個別補償は必要なのではないかという勢力(J姉)があり、結果的に日本政府は『賠償』という形ではない人道援助を行う、という形でことを納めようとしている、ということです。この状況で、Kが「やっぱりJは謝った方がええんちゃうん?」とか言い出すのは正直納得出来ないということ、そして、かといってKとも友好関係を保ちたいという前提のJの立場が非常に微妙であるということは、大変よく理解できた気がします。はい。