yasukanaさんに。

yasukanaさんのグループ日記から問題提起されたんで、こちらで答えますね。
まず大前提として私は「民営化原則賛成」なんで、これ踏まえて読んで下さい^^。
1)今回の解散の是非

両院協議で、決裂後、衆議院特別採決となった際、賛成大多数でないと可決しないのです。
現状では賛成多数となる公算は非常に低いので、

そうなんですよねー。衆議院で2/3の賛成がいるのですよ。でも自民党自体が単独過半数取れてない現状で、しかもその自民党を割っておいて「2/3取れる」という小泉さんの発想が分からないんですねー。失礼だけど、小泉さんは本気で郵政民営化を目指しているように見えないです。本気で目指すなら、「分社化(入り口改革)には反対しないが、それプラス財投改革(出口改革)もしましょうよ」って意見に耳を傾けて継続審議すれば、反対派の一部切り崩し成功、で、あっさり通ったと思うんですよね。なんで継続審議の道を選ばずに党を割る道を選んじゃったのか、そこの説明を彼はしませんね。今回の選挙でもし負けたらそれこそ「郵政民営化」は呪われた法案になって、日本の行く末には暗雲立ちこめちゃいますよ。もう少し真剣に確実な成立をはかるべきだったと思います。政治家は安易に乱を求めるべきではないと思います。小泉さんはどうも乱を好み過ぎる観があるのですが、その辺どう思われますか?

2)自民分裂の是非

そもそも党の公約である民営化を自民党議員自身が反対票を投じている時点で「国民に再度真意を問う」事が必要だと言えます

まず郵政民営化」は「党の公約」ではないということは余り言われてないけど大事なとこですね。「郵政民営化」はあくまで「政府の基本方針」であり、2003年版衆議院選挙の自民党マニフェストでうたわれていた「公約」は
『(政府の基本方針を踏まえ)日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的論議を行い、2004年秋頃までに結論を得る。』
なのですね。
(参考:自民党HP:http://www.jimin.jp/jimin/jimin/sen_syu43/sengen/01.html
要するに、マニフェストつくるときには妥協して玉虫にした。双方とも自分に都合のいいように解釈した。だから、現在の小泉案に対して党内から「性急すぎる」「議論が必要だ」「経営改革を踏まえてない」「そもそも分社化方針とかについて党議拘束するのはおかしい」という批判が、たとえ少数でも出るのは正常なんですね。批判が起こっているということは「議論が尽くされていない/小泉さんが疑問に答えてない」ということなんで、ある意味それこそ「公約違反」じゃないでしょうかって批判されたらどうするんでしょう。
またこれはやや余談ですが、特に自民党という党のその寄り合い所帯としての成り立ちから現在得ている立場などを含めた観点からすれば、今回のやり方は再び自民党を「自由党」と「民主党」に割ってしまえ、という方向に見える。この国から彼は「安定保守」党を消したいのでしょうか?
こういう大事なことを放っておいて、「民営化は党の公約だ」という小泉さんのミスリード発言だけをクローズアップするマスコミは本当に危ない、と思ってます。

3)

国民が再度郵政民営化に賛成票を投じた上で、更に参議院で否決されるような
事があれば、次の参議院戦では、その議員の票はかなりヤバい状況となるでしょう。
国民がYesなのに議員だけがNoと言うことは成立しないのです。
つまり理屈は通ってます。

今回の選挙が「郵政民営化選挙だ」という定義が、既に小泉さん側の(非常に悪い意味で巧みな)選挙戦略だと思うんですよ。本当は、今回否決されたのは「小泉案(及び小泉さんそのもの)」に過ぎないわけで、正しくは「小泉 vs 反小泉」選挙でしょう。「反小泉」の中にも、「財投見直すなら民営化賛成」「分社化のやり方返るなら賛成」など色々な郵政民営化賛成派がいる。「小泉案反対」「(性急で強引な)手法反対」を全てひっくるめて「郵政民営化反対派」として切って捨ててるのはちょっとズルイと思いますし、それを反対派と定義づけちゃった上で「自分の案」に対する賛成票を強いるのは、あまり民主的な手続きとは思えないです。要するに、

 A「小泉郵政改革案」派 (賛成派)
 B「その他郵政改革案」派(原則賛成派+さらに過激な賛成派)
 C「民主系郵政改革案」派(ソフトに賛成派)
 D「民営化反対」派   (反対派)
と色々な人がいるのに、小泉さんは「民営化賛成ならAに入れなさい。そうでないならDとみなす」という無茶苦茶な理屈を通そうとしてるわけですね。本来まず自民の中でAとBのすりあわせを行い、さらに民主のC案からも一部取り入れることで切り崩しを行って、賛成多数で参議院通過、ってのがあるべき政治の道筋ってもんじゃないかと思いますが、どうしてそう進めないのか?さらに国民に対して「私(A)に投票しないと、民営化はできませんよ!」なんて脅し方するのもおかしいと思います。うっかりその脅しにのって国民がAに投票、気がつけばA系自民党内一本化体制完成……あれれ? なんてことになったら非常に危険。私はむしろ、小泉さんに落ち着いて貰うためにも、Bの人が沢山当選するのが良いだろうと思ってます(ハッキリ言ってBの候補者は、人間的には余り好きになれそうにない人ばっかりなんですけども。)

4)民主の立ち位置について
 これは、なんというか情けないですね。今回の選挙で国民の支持を得て第一党になる「やり方」はあったと思います。政権が取れるかどうかになるとまた別問題ですが、公明党からも軽くラブコールがあったみたいですし不可能ではなかったでしょう。
 しかし、残念ながら戦略ミスりましたね。今から挽回する方法としては、私なら「もっと過激な民営化案」を打ち出し、「民営化したいなら、小泉さんは党を割って民主と連携すべきだ!」と訴えるとかしますね。つまり公明党と水面下で連携を取りつつ、それをカードにして表では「自民との連携」協力を打ち出す。
 コレをやると何が良いかというと、つまり「ACに票が割れて結果Bが当選」しやすくなるんで当座は民主にメリットが無く見えます。しかし「Bの公認復帰はあり得ない」と断言してる以上、当選後にBを民主に取り込むなり、新党結成に協力して野党連合化するなりして自民党にダメージ与えることは可能だと思うんですね。そこに、民主メリットの目が生まれる。逆に言えば小泉さんが今一番嫌なのは「民主党に、民営化政策で抱きついてこられること」だと思うので。
 まあそんな思い切った手を打てるほどの人たちなら、今頃政権取ってると思いますが。

5)靖国について
 「おわび」表明+「参拝しない」宣言来ましたね。
 今まで煽っておいて、今日になってこれを言うのは、その効果を考えてのことなんでしょうか。これの報道次第ではかなり対外的なアピールとして印象づけることは可能だと思いますが、それができるほど各国と連携取れた上での宣言なんでしょうか?そう信じたいのですが……。
 とりあえず、「おわび」表明+「参拝しない」宣言は支持します。小泉さんのやり方に私が賛成するのは珍しいですが(ーoー)。