「とおりすがり」さんへ

すでに下の方でコメントを返しているのですが、見づらいことと、また「とおりすがり」さんのおかげで、自分なりに言いたいことをまとめられた気がしたので、こちらに再掲させていただきます*1。筋の通った意見を戦わせ議論しあうことの価値というのはこういう所にあるのだろうなあと思います。良かったらまたこれについてのコメントも、どなた様でもお寄せ頂ければ幸いです。
最初に「とおりすがり」氏から、次のようなコメントをいただきました。

美しくまとめられていたので、こちらにひっそりとコメントを・・・

結局、製作者の作品に賭けた情熱というのは不変であると思います。
今回一番中心となっている「ネコのキャラクター」についてですが
確かに、ねらーとしてのプライドもわかりますし、それによって湧き出した
作者及びメーカーに対する怒りもわかります。

しかし、私はこういう問題が起こるたびに思うのです。

オリジナルなら、オリジナルのプライドを持てばいいのに、と。
あんな程度で、自分たちのものにされたと思うなら、初めから主張しなければいいのに、と。

他人が稼ぐことがムッと来る? 自分達のかわいがったキャラが作りかえられて広まるのがムッと来る?

だったらやられる前にやっておけばよかったわけで。

かつての騒動のときから頑なに守り通しているわけだから、そういった根性は職人気質でしょうけど。

作者本人からのコメントに関しては完全同意です。
上記の理由にも関わってきますが、やはり、作ったものへの誇りをもっって、
自分の現状は主張するべきだと思います

これ以上人のところにごみを置くような文章を書くのは大変失礼だと思うので
以上で失礼いたします。 (2005/09/10 07:29)

続いてjo_30のコメントです。

とおりすがりさま
ご意見ありがとうございます。
たとえばこれが「職人の手作りラーメン」と、「(それに『インスパイア』された)チェーン店の真似ラーメン」という場合なら、おっしゃることは非常に正論だと思います。程度の差こそあれ(そしていかに前者が『地元の常連によって愛されて続いてきたラーメン屋』であったとしても)両者は資本主義社会に身を置いており、その意味で弱肉強食原則から逃れ得ないものでしょう。「文句があるならやられる前にやっておくべきだ」という意見は、そういう場合にはまったくもって正しいと思います。
しかし重要なことは「そもそもモナーやギコは売り物ではない」という点です。それらのAAは大げさに言えば2chという場におけるイコンであり象徴であり、という精神的な存在でもあります。「すでにギコやモナーを使って商売してる人もいるじゃない」という意見もありますが、上を踏まえればつまりそこに「リスペクト」する気持ちがあるか無いかという非常に精神的な価値観が関わっており、今回問題とされているのはまさにそこだと私は思っています。
あなたの仰る「ネコのキャラクター」たちは、ある宗教の象徴的図像のようなものであり、たとえていえば「十字架に磔にされた半裸の男」とか「古いフードをかぶり子供を抱いてほほえむ母親」イメージのようなものです。いかなる会社も「十字架に磔にされた半裸男」のキャラクターに「ハリツケちゃん」とかいう名前をつけて”これはオリジナルであり既存の類似キャラクターの使用を制限するものではありません”などと主張して商売した場合に問題が起きないと考える会社はないでしょう。そして、キリスト教徒の数は日本に約200万人といわれていますが、ねらーの数はそれに匹敵するのではないでしょうか。もちろん宗教の周縁で商売をする人は常にいます。しかし大多数の信者の機嫌をそこねて商売が成り立つと考える人は、普通いないでしょう。
結局avexが理解していないのはそういった側面(この世には商売にできることとできないことがある)ではないかと思われます。自分たちの商倫理ですべてが片づくと思いこみ、手を出すべきではない領域にうっかり踏み込んでしまった……そういうウカツさを今回私は感じています。 (2005/09/10 08:27)

……あらためて考えさせられました。
著作権とか商標とか色々話題になっているけれども、問題の本質はそういう所ではないのではないか。以前「プライドの問題」という発言を紹介しましたが、プライド、あるいはすでにこれは「信仰」の問題に近いのかもしれませんね。たとえば下のFlash
のまねこ問題Flash
なんだか話を美しくしすぎかなあ……と思わなくもないです。が、「そうしたかった、せずにいられなかった」気持ちは非常に良く分かるし、それを抜きにした解決というのは実はあり得ません。
風評被害」や「イメージ戦略」などという言葉を見ればわかるように、そして広告業界の隆盛をみれば分かるように、もちろん「気持ち・感情・イメージ」という形にならない物にさえ値段がついており、そしてそれこそ実はこの世で一番高価なのです。今回の件でavexは「時代遅れの資本主義信者」として、それらの値段をあらためて思い知らされることになるのでしょうね。その意味で、仮に今回の件を押し切ってもavexは「勝つ」ことはできないのです。
avexが今回正面突破すれば、2chは「傷つき」ます。そして「傷つけられた恨み」は永遠に残るでしょう。それは最終的なavexの「勝利」=すなわち消費者からの支持を得るための足かせとして永遠に働き続けるのです。avexが勝利するためにはなんとか相手に被害を与えず撤退できる安全な場所まで撤退するしかありません。にも関わらず、低レベルな声明を出して自らの退路を断ってしまいました。そしてこのネット社会では無意味に近いもみ消し工作という下策に精を出しています。私が株主ならば、今回の企画担当者そして会議に関わった全員の経営判断の誤りを問うでしょうね。
再度言いますが、avexは現時点でも、即座に撤退すべきです。いかなる犠牲を払っても。
(追記)
モナー=イコン、的な説を見つけたので紹介。

*1:決して晒し上げたいとかそういう意図ではないので、「再掲はやめて下さい」ということであればやめます。