沖縄で何が起きているか?(追記有り)

5月16日記事の追記その3です。向こうに追記するのが筋かもしれないけど、既に二度ほど追記したので新エントリに。


先日追記2で、自衛隊と反対派の衝突のようなニュースが入った件を報告しましたが、その件について更に書いているページがホットエントリに入っていたのでリンク。
「辺野古の反対派が殺人未遂」とのネガティブ・キャンペーン始まる


とりあえず詳細なレポートがありますので、読売の記事と読み比べて真偽判断は読む人に任せます。


本日の写真は日本聖公会全国青年ネットワーク「辺野古基地建設を止める」特設ページから引用させていただきました。現地に足を向けるのが難しいとしても、とりあえず少しでも関心を持った人は「辺野古」「調査」で検索し、様々な情報を読み比べてみるのがいいと思います。少なくともTVや新聞が報道しない「大きな事件」というのはあるものだと実感できると思います。

(追記)
参考:きっこのブログ
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2007/05/post_3998.html
逆に作業員によって鉄塔から落とされた反対派の住民の画像へのリンクなどあって大変そうですが、とりあえず「なぜマスコミはこの件を報じないのか」に関する意見として、マスコミの代表意見かどうかはさておき、田原総一郎が某所で答えた内容というのが興味深い。

沖縄への自衛隊動員は明らかに違憲だ。ただ、座り込みをしているのは地権者や土建屋たちで、抗議活動をしているのは、そのほうがアメリカ軍に土地が高く売れるからだ。つまり自然保護などというのは彼らのお題目に過ぎない。土地の値段を吊り上げるための利権絡みの運動だから、中央のマスコミは報道せずに静観しているのだ

きっこさんはかなりコレに憤っていて

高い会費をぼったくって、こんなデタラメをノタマッてる大バカは、今すぐに辺野古へ行って、座り込みを続けてる人たち1人1人に確認して来いよ!

と繋げるんだけど、個人的には、「地建者や土建屋」が無垢な現地の人を扇動していることだってあり得るわけだから、残念ながらそれでは確認にならないと思う。*1田原さんが言うのは一つの理屈だ。そしてそういう理屈はあり得ないことではないと思う。どんなに報道が中立を心がけても、「報道すること」自体が既に一方への加担になることはあり得るわけだからだし、田原氏は原発の反対運動の取材などを通してそういう実態をイヤというほど見てきているのだろう*2


で、確かに「自衛隊動員は違憲」とともに、「自然保護というのもまたお題目に過ぎない」という田原氏の発言については実は私は結構同意だ。この手の運動の中心がどんなにPureであったとしても、それだけではここまで運動が拡大しないとも思っているので、そして「自然を保護したい」人たちも、その程度にしたたかであって欲しいとも思うので、彼らが全てPure一筋だとは私も思わない。が、しかしここには実は仕掛けがあって、この引用がそれなりに正しいのだとすれば、田原さんは最大限揚げ足とられないような微妙な言い方を選んだだけで本音はそこじゃないのではないかと思う。なぜなら田原氏の言うこと(運動しているのは地権者と土建屋)が仮に正しいとしても、彼の発言には明らかな矛盾があるからだ。そのヒントは冒頭の「自衛隊動員は違憲だ」という発言だ。


(注)ここからは電波風味なので適当に読み流して貰いたい。


たとえば仮に「目立ちたいだけの愉快犯」が東京駅の街頭で見え見えの狂言誘拐パフォーマンスを繰り広げているとしよう。彼の目的はたとえば芸人になったり、注目を浴びてスターになることであり、そして報道各社はそれが狂言だと知っていてスルーしているのだとしよう。「報道すること」それ自体が「相手の目的への加担」になるなら、「事実起こっていることをスルーする」行為はあり得ないこともない。
しかし、その「狂言誘拐パフォーマンス男」を、警察が何の警告も無しにいきなり狙撃して殺したとしたらどうだろう?これは明らかに違法な行為であり、その違法な行為自体には明らかにニュースバリューがあるのではないか。それを報道し問題にしないとしたら、それはジャーナリズムではない。


元々の男の行為が狂言であろうが利益目的であろうが、現に起こりつつあることが権力の暴走であり明白な違憲行為であるとするならば、それはまさに報道されるべきニュースなのであって、その場合男の元々の目的がインチキであるかないかは政府の犯罪性に対する一片の言い訳にもならないし報道しないことの説明には全くならない。つまり、話の冒頭で言っているように、田原氏にそれが「明白な違憲行為だ」という認識があるなら、実は後段は不要であり、田原氏の主張は「報道はすべきだ」ということでしかあり得ない。矛盾とはこのことだ。
田原氏が「違憲行為」だと言明したとしたら、同時に彼はこれを「報道すべき事件だ」と認めているも同然で、にも関わらず後段を述べるのは何のためなのか。それは、後段の内容が「外向きにつくられた『報道しないための(できの悪い)言い訳』に過ぎないということではないのか。
もし本当に田原氏がこの言い訳を信じているのだとしたら、最初から何も「自衛隊派遣の違憲性」を明言する必要など無いはずだ。「今回の自衛艦派遣の合憲違憲性はまた別に問われなければならない重大な問題だが」程度でお茶を濁しておけば良い。


では、なぜわざわざ田原氏は矛盾するようなことを言ったか。簡単なことで、つまり

自衛艦派遣は明白に違憲だ(から私は当然報道すべきだと考えている)が、
地権者や土建屋の宣伝なのでニュースソースは無い(という嘘くさい言い訳を言えと言われている)

ということに他ならないっ!
つまり

        N /i/´ ゙ ̄ ̄``ヾ)_      ∧  /
        Nヾ ゙        ゙ヽ   |\/ ∨l/
       N゙、            ゙i _|`
       N゙ゞ            .! ヽ これは田原が 
       ゞミミ、  ノ,彡イハヾ、  i Z 
       ー-r-==、'リノ_ノ_,.ヾミ,.ィ,ニi ヽ 「政府による箝口令」を
.        {i `゙';l={゙´石ゞ}='´゙'r_/ 〈   
.        ` iー'/ ヾ、__,.ノ  /i´  / 示唆したということなのだよ!!
          !  ゙ニ-=、  u / ,ト, ∠_
           ヽ、i'、_丿 /// ヽ /_ 
        _,.ィヘヽ二 ィ'_/ /  ゙i\|/Wlヘ
  -‐ '''" ' ̄/ i ヽ_./´   ./    .| `\   ∨\
      /  /ィ´ ゙̄i   /   ir=、  l'i"ヽ、
     ∠__,,..-イ i   /\_,イ,=-、 i 、,.ゞ、 | ゙'"ヽ \
!     .i-'´  ,i | ./`゙'i'   /i_.!._,..ヽ<!  ゙i、゙i.  =゙!  \
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……お後がよろしいようで。*3


それにしても、こうやって多方面から情報が入ってきたり色々考えることができる状況は、「まだ」望ましい状況ではある。しかし、それもネットがあればこそ、だ。もしTVと新聞しか無ければ、もっと早く物事は進行しているのだろうか。10年後20年後、どうなっていることか。

(追記2)
久間大臣の公式見解はこちらでかなり読めます。http://www.mod.go.jp/j/kisha/2007/05/18.html
私は「寛大な解釈」のひと言で、際限なく自衛隊の活動範囲を広げるのは暴走に近いと考えますし、「妨害行為」のひと言で何ら危険でもなんでもない市民の活動に対し自衛隊を派遣した今回の件は、まさに自衛隊が「暴走」したケースだと考えます。
この久間大臣の見解に基づけば、自衛隊が大臣の一存で暴走できるシステムになっている」ということです。その事実自体が非常に危険なのであり、今回の件はその危険が実体化した事例だとも言える。真面目な自衛隊員や防衛省関係者はこの件を強く憂えているのではないかと思いますが、そういう人は久間大臣に意見できないのでしょうか。

(追記3)
関係リンク
http://dr-stonefly.at.webry.info/200705/article_4.html

*1:まあ、現地で反対運動を目の当たりにすれば、そんな風に距離を置いた発言はとてもできないのだろうな、と思うだけに、きっこさんの憤りも分かるのだが。

*2:まあ、きっこさんもそんなことは知ってて煽ってもいるのだろうが。

*3:いや、よろしくないですね。ホント。