日本はアメリカに「要望」しているか

先日の著作権問題絡みでたけくまメモが更新されていたのですが
【著作権】「非親告罪化」今年度中に本案へ
GIGAZINEの記事とともに、色々と批判の先鋒にされてるみたいです。普段はライトな人が集うそれでいて目立つブログだから余計にって感じでしょうか、賛成反対含めヒステリックな反応が多いみたいです。
とりあえず個人的には、

ちなみに「要望書」は、毎年日本からアメリカにも出されているようですが、それが実現しているのかどうなのか、そもそも向こうがまともにとりあっているのかどうか、俺は知りません。どなたか詳しい人がおられたら、解説いただけるとありがたいです。(たけくまメモ

というフレーズを見て、そういえばちゃんと調べたことなかったなと思い、人力回答のノリでちょっと調べてみたくなりました。*1


で、さーっとネットを見てて(こういう調べ物において、ネットの便利さはホントに偉大ですね)「あ、これ一番分かりやすいかも」と思ったサイトが以下。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会−各国・地域の貿易・投資上の問題点と要望 「2005年版」−(@日本機械輸出組合JMC)
これは、「1. 外資参入規制 2. 国産化要請・現地調達率と恩典 3. 輸出要請 …」と始まり、「…23. 諸制度・慣行・非能率な行政手続 24. 法制度の未整備、突然の変更
25. 政府調達  26. その他 」まで全26分野について、アメリカの諸制度にどのような
問題点があると投資家などが指摘しているか、そしてどのような対応(この中に、日本の対米要望のリンクする内容が書かれている)がなされているか、そしてそれにアメリカがどのように対応しているか、がまとめられています。全ての内容を載せるわけにはいきませんが、たとえば「1.外資参入規制」に関してはこんな感じ

(対応)
・日米規制緩和対話において、内航海運に従事する商船の米国内での建造義務の見直しを要請した。
・当該措置はGATT3条及び第11条に違反すると考えられ、WTO一般理事会において本件の検討を行っているが、日本をはじめ多くの国は、1994年GATTパラグラフ3に置かれたGATT規定適用免除の規定はGATTの基本原則からの重大な逸脱であるとして、上記米国の措置の更新について制限的態度で応じるべき立場をとっており、米側から対応が不十分であるため、今後も引き続き米国の対応を注視する必要があるとしている。(2002年版及び2005年版不公正貿易白書)。

2002年に要望して、また2005年にも要望しています。
その他の論点について、簡単に表にまとめました。

とりあえず、あげられた16の要望のうち、議会での検討に持ち込めたのは7件、最終的に要請が実現されたと言えるのは、諸外国(EU)からも声が上がっていたものを含めて2件という感じで、とりあえず対日要望書ほど厳格にその達成度合いを評価されているような印象は受けませんでした。まあ当たり前なのかもしれないけど。より詳しく知りたい人はリンク先を見て頂いたり自分で調べてみたりするといいんではないでしょうか。…とちょっとボールを投げてみたり。


まあ、要望の「内容」よりも、問題はそれを達成させる「仕組み」をもってるかどうか*2、それを一方は持っていて一方は持ってない、ってところが、本当は一番問題なんじゃないかと思いますけど。その状況で、「これはアメリカからの要望に過ぎない、受け入れるか入れないかは日本の自由」とか、「日本もアメリカに要望はしている。両者の関係は対等」なんて言い方で切って捨てるのは、いささかフェアじゃないんじゃないかと思うのですが。名だたる経済通のブロガーの皆さんは、その辺りどう思ってるのか積極的に説明して欲しいものです。

*1:ちなみに、コメント欄に「日→米」の要望書へのリンク貼ってくれてる人もいますね。(6/4,9:00AM現在)

*2:軍事力という意味ではないですよ。念のため。強いて言えばあらゆることを含めた一国の外交交渉力、ですかね。