GIGAZINEにこんな記事が載るとは

著作権の非親告罪化やP2Pによる共有の違法化は誰が言い始めたのか?(GIGAZINE)

著作権侵害について権利者以外の警察などによって逮捕して取り締まることができるようにするための「著作権非親告罪化」や、P2Pソフトによるファイル共有は「私的複製ではない」として違法化しようという流れのそもそもの発端は何なのかを調べたところ、意外なところに行き着きました。

最近はかなり有名になりつつあるので知っている人も多いと思いますが、アメリカ政府が毎年日本政府に年次改革要望書というものを出しています。要するに「ここに書いてあることはちゃんとやっておけよ」というアメリカからの命令・指導・要望が書いてあるわけです。法科大学院の設置郵政民営化、最近では三角合併などはこの年次改革要望書に書いてあったために実行しただけに過ぎません。ホワイトカラーエグゼンプション労働者派遣法などについても書いてあります。

そしてこの年次改革要望書の最新版に著作権非親告罪P2Pによる共有の違法化などについても書いてあるわけです。つまり元凶はアメリカからの圧力とそれに従わざるを得ない日本政府の弱さにあったわけです。

年次改革要望書については以前も書いたことがあるので重複を避けますが、昨年の郵政民営化キャンペーンにうんざりして以来、今年度版は見ていませんでした。著作権法違反を非親告罪にするという話がこういう所から来ていたとは……。


確かにアメリカでは著作権法違反は非親告罪ではありますが、同時にアメリカにはFairUseの法理というものがありこれが徒な著作権の濫用を防いでいるそうです。日本でもFairUseに近い概念が認められる「可能性はある」そうですが*1、法理として確立しているわけではなく、従ってこの提言については『著作権法違反の取り締まりだけを強化するのはバランスを欠く』……というのが私には一番正論に聞こえます。


なお、『改正されようとしている条文そのものの曖昧さ』を含めた詳細な指摘(色々なブログで論じられている内容のまとめ含む)がululunさんの煩悩是道場にありますので、詳しく知りたい方はぜひどうぞ。大変参考になります。


まあなんというか「与党の提案に引きずり回される野党」も情けないですが、「国の政策を悉く他国に引きずり回されている国家」というのも情けない。また「第三の権力」と言われながら、誰に遠慮してるのだかそれを追及しない/できないマスコミは更に情けない。今回これを取り上げたことで、GIGAZINEをちょっと見直した次第。

*1:このへん、元にしている知識はwikiペディアです。