再びいじめについて少し書いてみる

久しぶりに休み……といっても、持ち帰りの仕事と昼から仕事があるので、それは休みと言わないだろう常識的に考えて、と思う今日この頃。それでも朝からご飯食べて少しゆっくりネットができるのは何ヶ月ぶりであることか。


さて本日のブックマーク記事から

見えないネットいじめ 「パケット定額と時期重なる」
今回、いじめの方法についても調査が初めて行われた。ブログ掲示板への書き込みや悪質な合成写真、仲間外れのチェーンメールなど、ネットいじめについては教育現場から「皮膚感覚では5、6倍はある」「パケット定額制の導入と、携帯電話の高機能化が進んだ時期と重なる」といった指摘も出ている。
(中略)
 校外で特定の児童生徒を無視するなど、教員が把握しにくい形のいじめも増えており、「大人がネットいじめや校外でのいじめの実態を知らないと、見過ごしてしまう」と警告している。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0711/16/news030.html

基本的には昨年度に行われたいじめの実態調査結果を受けての分析記事で、それ自体は数日前から話題になっていたので目新しさはないのですが、ここの部分がこの記事の一応キモらしい。それネットいじめ、って言いたかっただk(ry……感がアリアリとするわけですが、簡単に注釈を加えておきます。誰の役に立つのか分かりませんが。


そこに『いじめ』があるかないか発見するために必要なのは、そういうたくさんの「現象」についての知識よりも、いじめの起こりそうな、起こっていそうな「空気」を感知できるかどうかだと思います。その手の『知識』など、生徒と日常的に交流できていればいやでもアップデートされるので、少なくとも現場の人間はそのことに対してたいした「焦燥感」も保っていないし、実際それほど問題ではありません。*1それより、集団を交流させる状況を設定し、それをていねいに観察していれば、クラス内の人間関係の変化、特定の人間に対する微妙に不自然な対応、笑い方、意味ありげな目線、大人しい生徒の様子がリラックスしているか微妙に怯えているか、普段よく話しかけてくる生徒の様子はどうか……などから、『何か』が「起こっていそうかどうか」を判断できるものです。


あるいは、それが難しいというならば、たとえば教室内で完全にフリーな時間を与えてどのように振る舞うかを見ていてもいいでしょう。一人になっている子は「以前から普通に一人」なのか「一人が好き」なのか「以前は集団にいたのに一人になっている」のか、その子は「一人で大丈夫な子」なのかそれとも「一人では保たない子」なのか、などは、割と、シンプルに観察しやすいと思います。


定期的に観察を続けていれば、おおまかな人間関係はつかめると思いますし、その変化を追うこともできるようになるでしょう。これは、多くの生徒と日常的に触れあっている教員なら普通にできて当然なことの範疇に入ると思いますし、実際それほど難しいことではありません。


それより、本当に教員に求められていてそして習得するのが難しい技能・能力、まさに「それが欠けているがゆえに現場が焦燥感にかられている技能」とは、「いじめが発生しない集団作り」技能や「発生しかかったいじめを速やかに解体する」技能だというのが本音の所ではないでしょうか。


現在のいわゆる「生徒指導」、そしてこの記事がイメージする「指導」(すなわち「発見して処罰する」などの、厳密に言えば警察に属するような仕事)はいわばその二者に最悪失敗したときのやむことをえないフォローではありませんか。そんなことだから、『もうこうなっては、警察に現場に入って貰うしかない』などといった状況に陥るのではないでしょうか。そんな状況を作り出した責任はどこに・誰にあるのかというのは全く追求されないのでしょうか。そしてどうやれば防げたのか、あるいは防ぎようが本当に無かったのか原因を分析し検討するという行為は誰がするのでしょうか。最低でも教育委員会は管理職に命じ協力して、問題発生から最低一年はかけて原因の分析・検討に関するレポートをまとめ、データを蓄積しなければならないはずですが、そういったデータの蓄積がどこにあるでしょう。話題になったいじめ関連の事件でも、75日もたてば噂と共に消え去っていくのが常で、これではいじめを防ぐなど夢のまた夢でしょう。

ネットなど学校以外で、より陰湿ないじめが行われているとの指摘もあり、教育現場は焦燥感を募らせている。

とありますが、「焦燥感を募らせて」いるのは端からみている方であり、現場はただただ「無力感」に苛まれているだけなのではないでしょうか。端がやいやい騒ぐだけでなく、もっと予防主体、そして事件が発生したときは再発防止を主眼とした検討を真剣にやるという方向性を示して現場を支援しなければ、この「無力感」が消えるときは永遠にないのではないかと思います。

*1:むしろ大量の知識を頭の中で処理してきちんと整理するのが大変なくらいで。