市議会議員のブログが削除

ブログ削除に関わるニュース。
最近は今さら感もあり、むしろ少なくなりつつあった「やっちゃった」感のあるブログ削除事件……かと思ったら、今回の件、ちょっと違うのはブログの書き手が【市議会議員】であり、【同僚議員の発言】を話題にして問題になったという点。

水戸市議会で政治倫理条例案を議論する議会改革調査特別委員会(小松崎常則・委員長)をめぐって24日、議案を提出した玉造順一議員(民主・社民フォーラム)が自分のブログ(インターネットの日記)で条例案にまつわるやりとりを紹介したことに、条例案の慎重派議員らから批判が挙がり、議論は6時間空転した。玉造氏はブログを削除すると妥協し、特別委は始まったが、議員のネットによる情報発信に自粛ムードが広がる恐れもあり、今後、波紋が広がりそうだ。
asahi.comの元記事リンク
web魚拓版

問題はこの条例案にまつわるやりとりなのですが、これがなかなか生々しくて微笑ましいです。


問題になったのは、こんなやりとり。当のブログ議員は、工事契約・物品納入から保育所の入所に至るまで、『議員の口利きを禁止する』という趣旨の政治倫理条例案の議会への共同提出者を求めて各議員のもとを回ったときの話ということで…。

 問題になったのは、玉造氏が特別委への傍聴を市民へ呼びかけた20日のブログ。玉造氏は「条例の共同提出者になってもらおうと各会派を回ったときに(建設業者に関係する)ある議員からこんなことを言われました。『こんな議案を出すならケガ人を出すからな』『ウチの社員と家族をどうしてくれるんだ!』」と難航した経緯を記した。

いやー。
面白いな。
実名書いて、裁判で争えば良かったのに。
ちなみに刑法230条では「名誉毀損の成立阻却要件」の三要素について

公共の利害に関する事実に係ること(公共性)
その目的が公益を図ることにある(公益性)
事実の真否を判断し、真実であることの証明がある(真実性)

と述べていますが、とある議員が政治倫理条例案にいかなる理由を付けて反対したかという内容については、明らかに公益性と公共性があり、かつ同行した別議員による証言も期待できるなど真実性についても問題が無い。従って、名誉毀損罪は明らかに成立しませんね。ちなみに『(実名は無いものの)「人物がある程度特定できる」との懸念』も言われたとか。大体誰の話か、みんな分かってるんじゃないですか。


それにしても、これは相手がそういう人と分かっていて、断られるの前提で依頼に行ったのでしょうね。勇気ある(体を張った)釣りです。ちなみに同記事の中で批判しておられる松本勝久議員、村田進洋議員、そしてただ一人条例案の採決から退席された高橋丈夫議員*1、いずれも現職の都市建設常任委員の方々のようです。
参考1:水戸市議員HP
参考2:(昨年度行われた)水戸市議会議員選挙結果
その意味では、こうして騒ぎになった末に「削除させられた」こと自体が狙った結果だっただろうと思われるわけで、削除で手打ちしたブログ議員の側の豪快な一本釣り成功、という話でしたとさ。


それにしても引用したasahi.comの記事の的外しっぷりに脱力。最後に

野村真実議員(葵政友会)は「書かれたことが事実だとすれば、このことの方が問題」と発言。玉造氏と一緒に共同提出者の署名集めをしたという川崎篤之議員(民主・社民フォーラム)は「署名をお願いにいき、(自分も)恐怖感を覚えた」と玉造氏を援護した。

とチクリ言うくらいなら、ハッキリと言いたいこと言えば良かったのにと思います。

*1:水戸メガモール推進派だった方らしく……うーむ。剣呑ですなあ。