最近読んだ本「甘粕大尉」

甘粕大尉 (ちくま文庫)
かなり面白かった。以前から大杉栄と大正の無政府主義者には興味があったし、何より後に満州に渡って大物になったという甘粕大尉自身にも「一体どういう人間だったのか」ということに興味があったから読んでみたんですが、以前アウシュヴィッツ収容所 (講談社学術文庫)アウシュヴィッツの所長でもあった、ルドルフ・ヘスの供述書)を読んだときと同じように、「基本的に真面目な普通の職業人」度合いに非常に深く感じるものがあった。
彼らが彼らなりの筋ややむを得無さによって、歴史の中に名を留めたこと、そして彼らのような人間は平時には普通にその辺に見られるのかもしれないこと、彼らも決して悪魔とかではなく彼らなりに温かみもある普通の人間であること。だからこそ誰もが、時には悪魔にもなれるということが非常によく分かる(もっとも甘粕大尉についてはかなり冤罪臭いのだけれども)本でした。