今朝こんなニュースが流れていた。

特待制度 実施申告校は334校に 高野連が発表
野球の特待制度というのは、たとえば『田舎に住んでいて野球の才能は有り、地元の公立高校に進学するか、それとも設備の整った私立高校に野球をするために進学するか悩んでいるが、貧しいため実質前者しか選べない』と言った中学生のために、彼の人生の選択肢やチャンスを広げるためにあるものだと思っていたのだが、それを倫理の無いプロ球団とトチ狂った保護者の私欲による人身売買のようなものと同列にして一律見直しさせるという方針が本当に正しいのか。後者の例は実際に「金を得ている」わけだが、前者の場合特待制度が無ければ公立への進学しか道は無かったとすれば、その子の実家は「金を得た」わけではない。線引きが難しいと言いたいのは分かるが、難しいなら摘発も慎重にすべきだろう。今まで放置しておいていきなり選手に「出場停止」、学校に「大会参加辞退」、監督や部長に「辞任」させるという高野連の対応は、何か「一見厳しい態度を取ることで、後ろ暗い何かを隠そう」という対応にさえ見える。よくて「高校野球のアマチュア幻想維持の為に一部の生徒や関係者を見せしめにした」対応にしか見えない。本当にアマチュアスポーツの精神を貫くのが目的なら、今すぐ高野連を解散して野球というスポーツを高体連組織に編入し、各種大会に民間会社の冠をつけるのを禁止すればよろしい。そもそも高野連自体に各種民間会社からの寄付が流れ込んでいるのだとすれば、そういう一種の「プロ」組織である高野連がアマチュアリズムを押し立てるのは芸能事務所がアイドルの「清純」幻想を売りにするために「作られた清純さ」を押し付けているようなもので見苦しいことこの上ない*1。もし、高野連が「アマチュアスポーツ」幻想を売り物にする見せ物小屋の元締めではないと主張するなら*2、彼らが真っ先に見直すべきは高野連の存在やその組織のあり方そのものではないかと考える。

*1:そう言えばそういう事件がこの前あった。別に私はあのアイドルに何の興味もないが、小学校をあがるかあがらないか位の何の芸も無い少女を碌に学校にも通わせず見せ物にして日本中連れ回して、あげく20歳そこそこで旬が過ぎれば何の能力も身に付けさせないまま次の仕事を見付けてやるでもなく捨てるように放り出す業界が、どうして前近代的な人身売買同然の業界だと批判されないのか。どうしてそういう所業のまかり通る国が「先進国」なのかは理解に苦しむ。

*2:元締めでない…と彼らが証明してくれることを真摯に望むものだが