"わた"インタビュー「FLASH50の閃客万来」を記録に残します。

『さて今週の「FLASH50の閃客万来」インタビュー。今週のクリエイターさんはこの方です。
わた■わた(電影 駄目虫超)
現在もネットで大ブレイクしている「マイヤヒー」のFLASH作家であり、avexより発売中のモルドバ共和国出身(DAN、ARSENIE、RADU)の男性3人組O-ZONEが歌う「DISCO-ZONE 〜恋のマイアヒ〜」にFLASHが収録されるなど、わたさんの「マイヤヒー」作品が2ちゃんねるなどをはじめとして現在も人気を得ている。
恋のマイアヒ〜ねこねこ空耳恋Ver.が現在ご覧になれます。)
※ここに自画像とおにぎりわっしょいの絵(旧Ver)
『わたさん、早速なのですが圧倒的な人気を得た「マイヤヒーFLASH」ですが、それ以前のわたさんの創作について、ご存知ない方のために少しご説明いただけますか?

普段は主にサイトのほうで、細々とオリジナルイラストや漫画を描いております。
テキストサイトでもないのに「テキストサイトツッコミ王選手権」というのに出場してみたりもしました。
おかげですっかりテキストサイト扱いをされてしまい、ときおり躍起になってイラストサイトであることを自己主張したりしています(笑)「FLASHも面白そうだからやってみよう、せっかく作ったからサイトに載せてみよう」という感じで数点掲載したらえらいことになって今に至ります。

FLASHももちろんですがイラストも楽しませて頂いています!

ああ、ありがとうございます。
イラストは描くのにまとまった時間が要るのでなかなか頻繁に掲載できませんが…
(その辺がテキストサイト化してる原因でもある)

『さてさて、今回のインタビューではやはり爆発的人気を博した「マイヤヒーFLASH」にスポットを当ててお伺いしようと思うのですが、既存楽曲としてavexさんの「マイヤヒー」があり、わたさんの作品が2ちゃんねるなどをはじめとして人気を得たわけですよね。

そうですね。
でもavexさんからCDが出るなんて、そのときはぜんぜん知らなかったんですよ、私。

『後に、avexさんから公式に認められるという、従来のFLASHの歴史から考えた場合に非常に特殊なケースだとおもいます。

本当にいいのかなって思いました(笑)
avexさんから最初に連絡あったときは「やっべ!怒られる!」ってあせりましたもん。
あるいは何かのネタかと思いました。
話を聞いたら、人に「こんなのあるよ」って聞かされた担当さんが、社内でFLASHを見て(!)、社員大爆笑したとか。

『空耳系っていうのもウケた要因の一つでしょうね。

あの空耳、仕事中に考えたんですよ(笑)

『仕事中に!!(笑) マイヤヒーのまとめサイトでも空耳歌詞が公開されてますね。

そうですね、他の人もいろいろ考えてらっしゃって。

『あまり外国語になじみの無い人たちでも、空耳という解釈と空耳の歌詞に見合った映像を見たらインパクトは断然違いますよね。

空耳系FLASHって昔からいろいろあって、「私もやってみたい」って思ってたんです。
やっぱり「うわあそう聞こえるよ!」「ヤバ、もうこういう風にしか聞こえない!」ってなると楽しいですもん。
空耳ってすごくインパクトある題材だと思うんですよね。
だからマイヤヒーも、空耳でFLASH作ったってわけではないんですけど(笑)
マイヤヒーは聞いたときから空耳で聞こえてたんですよねー。
最初に「とりあえずこの曲を聞こえたままに書き出そう!」って、メモ帳に書き出したんですけど、ほとんど今の空耳歌詞なんですよ。
あの曲は狙ってるとしか思えません(笑)

※(ここに「すげえ うん入る?」の旧Ver絵)
『さてさて、今回の「マイヤヒーFLASH」一連の流れですが、私達も有る意味「前例の無いケース」のひとつだと考えています。
今後のFLASH創作シーンでこうしたケースが起きると面白いなあ、と思うのですが・・・。

そうですね。
もっとこういったことがあればFLASH職人さんにとっての励みになるんじゃないでしょうか。
きちんと勉強したすごくセンスのいい職人さんたちがたくさんいらっしゃるのに、もったいないです。

『センスがいいかどうかというのも、簡単なようで結構奥が深いんですよねえ。

そうですねえ…絵がうまいだけでもいけない、動きがきれいなだけでも、エフェクトいろいろ使えるだけでもいけない。
私は逆にその「センスのなさ」が受けたのかなと勝手に思ってますけど。

『センスがなければあのFLASHは誕生していないと思います!

でも、すごくセンスのある、人を感動させる力を持った職人さんたちがもっと多くの人に見てもらえる環境があればと思います。
もちろんインターネットでたくさんの人は見ることができるんですけど、それを他の人に教えようとすると「これ、ネットですごく流行ってるんだー」で終わっちゃうじゃないですか、それがもったいないなあって。

『確かにそうですよね。
でも、去年・一昨年と比べると、FLASH界もかなり認知されてきていると感じています。
雑誌やテレビなどの取り上げ方から企業のコンテストの数など、多くの場でFLASHに注目しているという話はよく聞きますね。

そうですね、大規模なFLASH関連のイベントも多く開催されましたし。

『そういった動きも含めて、もっとFLASHが身近になれば、と願って止まないです。
映画やドラマを語るように、あのFLASHが好きだとか、あのFLASHを見て面白かったと日常の会話で交わされていたら最高だなあと思ったりしてます。

私もそう思います!…私をみて「FLASHってこんなのなんだー」とか思われないことを願いますが(笑)
それにはやっぱりインターネット以外のメディアにも飛び出していける力が要りますね。

『だからこそ、作る側は見る側を意識した内容のある作品が今後求められていくのではないかとも思いますね。
先ほどお話に出ましたが、avexの社員の方が一つのFLASHを見て爆笑するということから、FLASHを知らない人でもこの作品の中身に惹かれているであろうというのはとても理解できます。

マイヤヒーの場合はavexさんでしたけど、他のメディアでもあれこれ取り上げてくれれば認知度はぜんぜん違いますからね。
だからもっとたくさんの人のFLASHが世に出てほしいと思うです。

FLASH作品が、ネットを越えて世に出て行く過程を考えたとき、企業とのタイアップというのは一般に認知しやすい方向で浸透するであろう一つの例ですし、特に今回のようなレコード会社のプロモーション的立場でFLASHを使用するということは、FLASH作品のメジャー化を考えた時、ひとつの近道になると思いますね。
そういった意味でも、わたさんの今回のFLASHの認知されていく様子は、非常に理想に近い形のひとつだと思っています。
※(ここに「米さ 米酒か!」の絵旧Ver)
『さてわたさんは、普段、どういった作品をご覧になりますか?
最近気に入ってるテレビや映画、小節やFLASH作品、なんでも結構です。

テレビをろくに見ていないのですが、漫画は無節操にいろいろ読んでいます。
プラネテス」や「鋼の錬金術師」「花の慶次」、「王様の仕立て屋」ジャンルも方向性もバラバラですが(笑)
小説は「十二国記」とか、隆慶一郎池波正太郎が好きです。
FLASH作品で最近感動したのはClaivoyance様の「Nightmare City」と、そのパロディ作品の「NANAME CITY」。
私、エフェクトとかFLASHの機能の1割も使えないので、「FLASHってこんなこともできるんだ!」と純粋に感動しました。

『いわゆる「ネタ」の選定のために音楽を聴く事はありますか?
それとも、そうしたアイデアは突如としてひらめく感じです?

ネタ探しをすることはほとんどないですね。
「うわあこれネタにしたい!」と波長が合ったときに作る感じなので…って、ネタFLASH職人認定なんですか!?Σ(゜Д゜)

『いえいえ!! そういう言い回しで言ったわけではないですよーw
あくまでも制作する上でのネタですってw

あははは、でもなかなかマイヤヒー級のには出会えませんねえ。

『特に2ch系と呼ばれるFLASH作品の中には、今でも確かに空耳というブームは安定した人気を博していますが、1〜2年ほど前は特に2ch系空耳FLASH作品が多かったですよね。
作家の想像力とセンスが光りまくります。

そうですね、私がもろに影響を受けた時期ですね。
「おれ知らせ」とか「茄子嫌だゴニャ」とか普通に歌えるくらい聞きましたよ。

※(画像「ホラ のめよオラオラ」と暴力的に酒を飲ませるシーン旧Ver)
『「マイヤヒー」がこうした形で取り上げられてから、わたさんの制作スタイルや作るときの気構えみたいなものの中に変化はありました?

いや、特に変わってはないですね。
若干多忙になって創作する時間が減りましたが・・・
実は今もFLASHを作っていまして。

『おおお!!
言える範囲でどんな感じか教えて欲しいですぅ。

8月3日にエイベックスさんからトランスのCDが出るのですが、その特典DVDに収録するマイヤヒーFLASHを書き下ろしています。
今度は2番も書きます。

『おおお!おめでとうございます。
先日の22日にはマイヤヒーのシングルが限定発売されて、そのジャケットも手がけられていますよね

そうなんですよー。
いいのかな、あの絵でってちょっと心配になりました。
どこの棚に置かれるのか楽しみです。(本命:アニメ、大穴:演歌)
枚数限定なので入手はかなり難しいんじゃないかって話ですけどね…

『先ほどの制作スタイルにちょっと話が戻りますが、わたさんが制作する上での心構えなどありましたら教えて欲しいですね。

やっぱり見る人が楽しいのが一番だと思います。
漫画を描くときも同じですが、見た人が「すげえ!」っていえる何かがあるといいなって思って作っています。
でも自分が完成図を想像して楽しくなさそうだと思ったらバサっと捨てます。

『今回のマイヤヒーで個人的にすげぇ!って思ったのは、キャラクターのハイテンションぶりでした。
なりふり構わずめちゃめちゃ飲んでて楽しんでいるというそのテンションが日常でもなさそうでありそうな場面ですし、とにかく目が釘付け。

作ってるときは私自身がやたらテンションが高かったんですよ。
とにかくツッコミ倒したかったです。

『作者のテンションがそのまま作品に反映された、ということですね。
ノリノリですもんw

ノリノリでしたねー。
「早く!この作品を早く見てもらいたい!この曲面白いから!」って気分でした。

『そういう感情ってすごく大事ですよね。
作品を発表するクリエイターはみんな曲にしろ物語にしろそういった気持ちで公開されていると思うし、その感情を忘れてほしくないとも思います。

「ラヴィ」の流行が落ち着いてきたころだったので、私が出さなくても誰かがこの曲を表に出して祭りになるんじゃないかなと思ってたんですが、でも他の人が違う解釈で出す前に、自分の解釈だけで1本作って出したかったって言うのがあります。
結果として飲ま飲まで宴会ソングに決定させてしまって申し訳ない気分です(笑)

『わたさんは、今後はどういった作品に取り組んでいきたいですか?

とりあえずきちんとFLASHを勉強したいというのがあります。
その上で、私が日記とかで書く小さい漫画のような内容をFLASHで表現できないかなと考えています。
もともと漫画描きなので、漫画で表現しきれない要素や、追加して楽しめるものを含めた作品をFLASHとして発表したいと思っています。

『では、同じFLASHを制作している人たちにメッセージをもらえますか?

皆様の作品を見て、あこがれてFLASHを作るようになりました。
今後も皆様の作品を心待ちにしています。
私のFLASHがメディアに出たことで、今後皆様の創作の場が少しでも広がることがあればいいなと願っております!

『では最後に、今後の作品に注目してくださる皆さんに対してメッセージなどがあれば、是非どうぞ。

いつもたくさんの人に見に来ていただいて、本当にありがとうございます。
これからはサイトにFLASHの充実も図る予定ですので、また見に来てやってください!

『本日は長い間お答え頂き、本当にありがとうございました。
8月に発表される第二弾、楽しみにしています。
これからも楽しんで制作してくださいね。

はい、こちらこそありがとうございました。

※(最後に、相手のネコが起きあがり目をきらっとさせる絵旧Ver)
※編集部注
エイベックスより発売中のアルバムタイトルには「マイアヒ」とありますが、わたさんが作成されたFLASH作品のタイトルは「マイヤヒー」ですので作品名に忠実に書かせていただいています。(という表現があり、絵は全てFlashマイヤヒー」より、となっています)